五輪書 風の巻 他の兵法に、はやきを用いる事
他流について
この巻ではわが一流のことではなく、各流派のことをしるす。
風というのは、昔風とか、今風とか、それぞれの家風、などと使われる。
他をよく知らなければ、自己を知ることは出来ない。
真実の道をきわめないと、初めの少しのゆがみが、あとには大きくゆがむものである。
○他の兵法に、はやきを用いる事
兵法のはやきといふ所実の道にあらず。
上手のする事は緩々と見えて、間のぬけざる所也。
諸事しつけたるもののする事は、いそがしく見えざる物也。
此たとへをもって、道の利をしるべし。
はやくいそぐ心わろし
又人のむざとはやき事などには、そむくといひて、静になり、人につかざる所肝要也。
此心の工夫鍛練有るべき事也。
格闘技においても重要である。
兵法の早さだけにこだわるのは、実の道ではない。
上手な人がすることは、いかにも悠々として間をはずさぬものである。
よく熟達した人のすることはいそがしそうには、見えない。
このたとえによって、この道理を理解できるであろう。
早く早くいそごうとするのは禁物である。
相手がむやみと急いでいるときには、これに背くといって、わざと静かになり相手にひきずられぬことが大切である。
このような呼吸の工夫をよくつむように。
格闘技においても
早く早くと早さにこだわると、かえってあたふたするものである。
早さは重要であるが、早くだけにこだわってはいけない。
自分のスタミナにあった早さ、リズム動きのリズムを重視する。
相手のリズムにひきこまれないようにしないといけない。
不利な時はわからないうちにひきこまれているものだ。
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